第22章  異なる彼女たちの歴史

 カガリ様が消息不明になった。ただ居なくなるだけなら珍しくはないが、監視の者の目からも消えてしまったことでオーブは大騒ぎになってしまっていた。分かっていることは突然サイ・アーガイルを旧ファウンデーション領に特命を与えて調査に向かわせたこと、その報告を受けて突然自分もファウンデーション領に行ってしまったことだけだ。
 このためオーブ軍から捜索隊が幾つもファウンデーション領内に送り込まれて捜索を開始しているのだが、先に入っている筈のサイもカガリと一緒に連絡が取れなくなり、恐らくはカガリ様と一緒に何かに巻き込まれたのだろうとみられている。
 問題はカガリ様とサイが何を探していたのかが全く分からないことだ。だからどこを探せばいいのか見当もつかず、ただ闇雲に探し回り続けている。せめてカガリが誰かに一言言っていれば、カガリのやる事を監視することが出来る部下が居れば、カガリを諫める事の出来る側近が居れば回避できた事態であったのだが、悲しい事にカガリはその全てに関心が無かった。そして部下も国民もカガリにそれを許してしまっていた。いや、もう陳言出来る人間が居ないというべきか。

 まさか、異世界人にちょっかいをかけて彼らと一緒に行動しているなどという事態は想像の埒外にあった。





 森の中をゆっくりと移動していくルドラに先導される形でトールの運転する車は森の近くを走っていた。道路を走っているわけではないので走り心地は良くないが、ルドラの傍から離れるわけにはいかないので仕方が無い。
 トールはバックミラーで後席を確認すると、もう少し頑張れよと声をかけた。

「あー、サイ、カガリ、もう少し走ったら休憩にするから、がんばれよ」

 この揺れのせいでMSに乗らない自分たちのカガリとこっちのサイが車酔いを起こしてダウンしてしまっていたのだ。こっちのカガリはまだ大丈夫そうではあったが、先ほどからずっと無言なので多分かなり我慢している。
 後席ではフレイが床に腰を降ろしてサイを自分の膝に寝かせて介抱していて、カガリは開いた自分たちの座席に横になってもらっている。サイの頭を自分の膝に寝かせているフレイは運命の悪戯に苦笑いを浮かべていた。

「まさか、他所の世界でサイにこんな事する日が来るなんてね」
「す、すまないフレイ……」
「はいはい喋らないの、流石に膝の上で吐いたら怒るからね」

 少しおどけた感じで言うフレイに、サイは辛そうではあったが少しだけ嬉しそうに微笑んだ。
 フレイとサイに向かい合うようにシートに座るこちらのカガリがむすっとした顔でじっとしていて、仲間のカガリが真っ青な顔で横になった座席の上で呻き声を漏らしている。

「た、頼む、この揺れ何とかしてくれ……」
「軍用車両に乗り心地を期待されてもな」

 真っ青な顔で唸っているカガリの懇願にアスランは困った顔で返していた。軍用車両は多少の装甲と中の広さ、走破性に全振りしているので乗り心地など二の次の要素だ。まったく考慮されていない訳ではないが優先するべき項目は他にある。このような悪路を平然と進んでいられるのは選んだ車両に十分な走破性があるからだ。
 とはいえその乗り心地はお世辞にも良いものでは無く、MSパイロットとして訓練をしてきた3人はともかく他はこの揺れに耐えられるような体では無かった。こちらのカガリはMSに乗った経験があるおかげか向こうのカガリより耐性があるらしい。

 この地獄のようなドライブは休憩を挟みながら薄暗くなるまで続き、イングリッドが野営に丁度良さそうな開けた場所を見つけたと知らせてきたのでそこで一泊することにした。とはいえテントなどは無く、倉庫から持ち出した寝袋で寝るだけであるが。
 周囲から目立たないよう上に樹木の傘があり、ルドラと車で周囲への遮蔽を取って焚火を始めた7人は、まだ乗り物酔いの消耗で元気が無いサイとカガリを椅子代わりの箱の上に座らせて休ませながら食事の準備を始めていた。アスランとイングリッドとトールが薪を拾い集め、フレイが焚火の上で鍋で料理を作っている。とはいえ簡単なスープくらいしか作れないのだが。
 そんなフレイを見ながら、両手を拘束されたこちらのカガリが何とも言えない顔で地面に腰を降ろしている。彼女の記憶にあるフレイはこんな雑用を嬉々としてやるような女では無かった筈なのだが、変われば変わるという事なのだろうか。
 
「なあ、フレイ」
「ん、何カガ……いやこっちのカガリだったわね。アスハ代表とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「いや、カガリで良い」
「貴女が良いならこのままでやらせてもらうけど、何の用なの? あ、私の腕が信用出来ないとかならイングリッドさんに代わってもらおうか?」
「それは絶対に止めてくれ、お願いだから!」

 前に食べさせられたイングリッドの料理で何度も死にそうになったカガリは心の底からフレイにお願いしていた。両手が縛られてなければこの場で土下座して頼み込んできそうな勢いだ。その余りに剣幕にフレイはイングリッドさんの料理がすっかりトラウマになってるなあと思って乾いた笑いを浮かべている。
 カガリの剣幕にちょっと引きながらも鍋の中を回す手は止めず、視線を鍋に戻して様子を見ているフレイに、カガリは少し戸惑いながらも質問をぶつけた。

「なあフレイ、お前、向こうの世界でどんな人生を歩んできたんだ?」
「どうって言われても、別に普通よ。必死に生きてきただけで」

 掬ったスープを小皿に移して味見して、もうちょっとかなあと呟くフレイ。だがカガリにはどうしても納得できなかった、なんでこいつは、アスランは、こんなにも自分の知る2人と違うのか。いや、フレイに関してはサイが彼女はフレイだと言っていたから、自分が知らない一面があったというだけかもしれないが。
 そんなカガリの内心を察したのか、フレイは後で話しましょうと言った。

「そういう話は後でしましょう、今は早くご飯を作らないと皆から文句が来るわ」
「……私は大盛で」
「本当にそういう処は世界が違っても似てるわね」

 くすくすと笑うフレイに、カガリはまだ元気が無い自分と同じ姿の女性を見る。自分と非常によく似た容姿でよく似た声の、他の世界の自分を。自分と違うところがあるとすれば髪を背中まで伸ばしていることと、スカートを履いている事だろうか。私よりも少し女性らしい身形をしている。フレイもそうだが、こいつもどういう人生を歩んできたのだか。



 4人から少し離れた森の中で薪を拾い集めていた3人は、薪を集めながらあの2人の事を語り合っていた。薪を拾い上げたトールが食事の用意をしているフレイに何か話しかけているカガリを遠目に見ながらアスランに声を掛ける。

「なあアスラン、あれ放っておいても大丈夫かな?」
「こちらのカガリ代表の事か?」
「ああ。あいつ、やけにこっちの世界の事を聞きたがるんだよな。他所の世界の事なんか知ってどうするつもりなんだ?」

 他所の世界の事なんか聞き出して何の意味があるんだとトールが不思議そうに聞く。自分たちにとっては異世界の事など知りたくは無かったという思いの方が強く、そんなものに興味を示すカガリが理解出来ないでいる。あの戦争が終わっても平和など来ず、延々と戦争が続いて憎しみで満ち溢れた世界になる可能性があったなど、知りたくはなかった。
 トールの疑問にアスランが考えていると、イングリッドが薪を拾う手を休めぬまま答えてくれた。

「彼女もずっと苦しんでいたのでしょう、どうやったらこの世界から戦争を無くせるのかと」
「戦争を無くす?」
「……手段こそ違いましたが、ラクスたちも私たちアコードも平和を求めたという点では同じだったんです。ただ彼女たちはその具体的な方法を思いつくことは無く、私たちはディスティニープランでその達成を目指しましたが」

 そう、結局誰も世界を平和に導く方法を思いつけなかった。ラクスはその手段を軍事力による対処療法に求めてコンパスを創設したが、それは現状維持するだけで平和には繋がらなかった。自分たちはディスティニープランの達成にそれを求めたが、他のアコードはともかくイングリッドにはその先に平和があるようには思っていなかった。
 結局、誰も平和への道筋を描くことは出来なかった。理想はあってもそれを現実に落とし込める能力を持つ者は遂に出てこなかったのだ。キラとラクスがあの戦いの後何をしているのかは分からないが、トールとフレイがコンパスの人間から聞いた話では2人とも行方を晦ませたらしいので、結局彼らも現実に負けて投げ出してしまったのだろう。

 その意味ではまだ諦めていないカガリは立派な人なのかもしれない。

「彼女は異世界とはいえ平和になった世界があるという事に、希望を見たのかもしれません。貴方たちの世界とこの世界の違い、そこに答えを求めているのかもしれませんよ」
「世界平和への答えか、気持ちは分からなくも無いが……」

 この世界の惨状を思えばあのカガリがそのような考えを持つようになるのは分からなくもない。自分だって同じ状況なら求める答えがそこにあるとすれば縋ってしまうだろう。だが、この世界と自分たちの世界はかなり条件が異なっている。例えあのカガリが何かに辿り着けたとしてもそれはこちらでは実行不可能だと思い知らされるだけでは無いだろうか。
 だが、アスランが真似が出来る要素などあるのだろうかと考えていると、イングリッドが少しだけ嫉妬を感じさせる声で更に続きを話し出した。

「正直に言うと、私にも貴方たちへの苛立ちと言うか、嫉妬を感じる事が無いという訳では無いんです。どうしてそちらの世界は平和に、というのはこの世界の人間なら知れば誰もが思うでしょう」

 貴方たちのようになりたい、というのは長い戦乱で疲れ切ったこの世界の人間なら誰もが抱く願いだとイングリッドは言う。決して手が届かなかった筈の理想がなんの偶然かそこに現れたのだ、それに手を伸ばしたがる人間が居たとして誰が責められるだろう。
 イングリッドにそう言われたアスランとトールは目を瞬き、そして顔を見合わせて何ともバツの悪そうな顔になってしまった。

「すまない、確かにイングリッドの言う通りだな」
「でも何が2つの世界を分けたのかか。何度か考えた事はあったけど、結局なにも思いつかなかったんだよな」

 アスランがイングリッドに頭を下げ、トールがこれまでにも考えた事はあるけど何が違ったのかと言われると、決定的な何かは思いつかなかったという。確かに細かい違いは無数にある。イングリッドに見せてもらった格納庫のデータから引き出したこの世界の歴史を自分たちの知識を照らし合わせても、確かに大きく変わってしまっている。
 だが決定的な何か、というのは見つけ出せなかった。この世界では全滅した第8艦隊は自分たちの世界では健在で無事に月基地に帰還している。その影響か自分たちの世界では欧州で大規模な反抗作戦「カスタフ作戦」が発動してザフトを欧州西部にまで押し返したが、この世界では反抗作戦自体が起きていない。
 その後も自分たちの世界では大きな戦いが幾度も起きてザフトの被害が大きくなったのか、こちらの世界よりもアラスカ強襲作戦「スピットブレイク」は大分遅れて実施されている。その為かこちらではパナマから投入されだした連合のMSが自分たちの世界では同じ頃に各地の前線に投入されるようになった。ただこの世界ではGシリーズの量産はされていなかったようで、それが地球連合の反攻の遅れに繋がったのかもしれない。
 こちらの世界よりも大分早く反攻を開始した為か、自分たちの世界ではスピットブレイクとほぼ同時に連合軍も大艦隊をプラント本土に送り込んでプラントコロニーと守備部隊に大損害を与えている。またこの段階で地球連合はジェネシスの存在を確認していて、こちらの世界では未知の超兵器だったジェネシスは自分たちの世界では地球軍に見つかった大砲と化していた。ジェネシスへの対策を考えられていたので受けた被害も少なく、致命傷には程遠かった。
 最終的には曖昧な結果に終わったこちらの世界の大戦とは異なり、自分たちの世界はプラントの敗北で終戦した。この記録を見たアスランとトールは決定的な何かは見つけられず、ただこちらの世界の地球連合軍の方が積極性を持っている様なのでそれが違う結果を招いたのかもと考えている。あるいは、地球在住コーディネイターたちがプラントを敵として地球連合側に立って参戦したことが決定的な違いを呼んだのだろうか。
 ただ、この世界では2度目の大戦が起きたのに自分たちの世界では起きていないのは間違いなく戦争がプラントが完全に白黒付いて終わったためだろう。プラントにはもう地球連合に噛みつくような力は無い。
 
 
 1つ不思議だったのは、自分たちの世界の方が戦争は長引いていたが、何故か大きな流れはどちらの世界も似通っていた。同じようにヘリオポリスは攻撃されたし、スピットブレイクも起きた。パナマはザフトに攻撃されオーブは攻められ、最終的に地球軍はプラント本土に侵攻している。細かい差異は無数にあるのに、何故か分岐点となりそうなイベントは発生時期の違いはあるがどちらの世界でも必ず起きている。また大戦後の事件になるがブレイクオブザワールドと呼ばれたユニウス7の陸地部分の地球への落着テロもこちらの世界では阻止されはしたがザルクが大戦末期に実行している。
 ただ、終戦に至るまでの流れでは自分たちの世界の方が起きたイベントは多かった。こちらではヘリオポリスからスピットブレイクまで大きな戦いは起きていないが、自分たちの世界では幾度か大きな戦いが起きている。またオーブとアルビム連合が地球連合側に立って参戦している。 
 こちらではオーブは地球連合に敗北してそのまま終戦を迎えているし、地球在住コーディネイターの立場はどんどん悪くなっていったようで、戦中から戦後の流れが大きく異なっている。オーブの扱いはともかく、地球在住コーディネイターへの処遇の違いは大きな差異だと言えた。彼らが地球連合側に組したおかげで地球連合軍の戦力は激増したし、戦後はもしプラントが復讐戦を挑んできても地球側からの協力は得られないので大戦時より圧倒的に不利な状態からのスタートになるからだ。

「やっぱりアルビム連合が有るか無いかの違いかな?」
「俺もそこだと思うな、コーディネイター国家が地球連合に加盟しているというのはイングリッドにも衝撃的だったようだし」
「当たり前です、こちらの世界では地球上でコーディネイターの主権国家が承認されるなんて考えられませんよ。それも地球連合に加盟してザフトに立ち向かっているなんて」

 トールとアスランの話にイングリッドが溜息交じりに返す。こちらにはそもそも地球上にコーディネイターが国家規模の共同体を作り上げるなどという機運は無かったし、ジョージ・グレンと同世代の別の技術で作られた違うモデルのコーディネイターが確認されたことも無い。
 この中心に居るイタラはこちらの世界から見ると完全に意味不明の世界のバグのような存在であり、イングリッドからすると自分たちアコード以上におかしい存在に映っている。何故この世界には居ないのかと考えればそもそも作られなかったか、放逐後に死亡したと考えるべきなのだろうが、彼を良く知るトールからするとあの爺さんって殺せるのかと真剣に悩むくらいには非常識な存在でもある。
 ただ、トールにはアスランたちが知らないもう一つの知識もあった。それはカガリたちの周りでたまに言われていた事、自分にも良く分かっていない妙な言葉だった。

「イングリッド、SEEDとか調停者って聞いた事ある?」
「調停者は知りませんが、SEEDはマルキオ導師が提唱していた論文に出てくる言葉ですね。確かラクス・クラインも一時期傾倒していた筈です」

 胡散臭い宗教家の唱えた新しい救世主思想だというイングリッドに、トールはアズラエルとイタラがカガリをSEED、フレイを調停者と呼んだことがあると教える。それを聞かされたイングリッドはその場で足を止めて考え込んでいたが、やはりどのような意味があるのかは彼女にも分からなかった。

「私には全く分かりませんね、調べる必要がありそうですが、こちらで調べる事が可能かどうか」
「この世界にはそもそもその辺りの知識がある人間が居ない可能性もあるか」

 困った顔をするイングリッドにトールがしょうが無いなと呟く。直接アズラエルやイタラに聞ければ良いのだが、彼らはこの世界には居ない。もしかしたらこの世界のマルキオやラクスなら何か知ってるかもしれないが、彼らに連絡を取る手段は無いし、仮にあってもリスクが大き過ぎる。
 ただ、これ以上はどうしようもないかと諦めている2人を他所にアスランだけは引っ掛かる物を感じている。SEEDや調停者の話はアスランも聞かされた事があるが、アスランはそれを夢物語だと切って捨てていた。だがそれがカガリとフレイとなってくると聊か事情が異なってくる。あの2人の周りでは不思議な事が起きる、それをアスランも自分自身の目で確認しているからだ。



 新たな悩みを抱えて3人が戻ろうとした時、野営地の方から何かをぶっ叩くような乾いた音がしてイングリッドが吃驚するが、アスランとトールはあの音はと顔を見合わせていた。

「こっちのカガリだな?」
「だろうね、他に居ないし」
「あの、今の音に心当たりが?」

 突然の異音にも平然としている2人にイングリッドが不思議そうに聞くと、2人は当然のようにイングリッドに教えてくれた。

「フレイがハリセンでぶっ叩いた音だ」
「……ハリセン?」

 なんだそれは、とハリセンを知らない様子のイングリッドが首を傾げているが、2人は見れば分かるよと言って野営地へと戻っていく。するとそこには折り畳んだ紙を束ねたような作りの巨大な何かを手に持つフレイと、地面に頭を突っ込む形で倒れているカガリの姿があった。

「えっと、これは?」
「あ、お帰り3人とも」

 何があったのかと戸惑うイングリッドにフレイがハリセンをポケットに仕舞いながら声を掛ける。目の前でどう見てもポケットに入らないサイズの物体が入っていくのを見たイングリッドは目を丸くして驚いていて、何度も見た事があるアスランとトールはもはや気にしていなかった。

「何があったんだ、フレイ?」
「つまみ食いの現行犯よ」

 どうやらこの世界のカガリが待ち切れずにスープに手を出そうとしてフレイにお仕置きされたようだ。見れば自分たちのカガリはまだぐったりしていて、サイは地面にキスしているカガリを見て硬直している。
 この世界の人間が初めて見たハリセンにショックを受けているのを見たアスランとトールはまあそうなるよなと思いつつ、フレイの近くに拾ってきた薪を積み上げた。

 


 準備に手間取って少し遅めの食事を始めた7人。フレイが作ったスープに保存食だった硬いパンを浸して食べる。美味しいと言えるものでは無かったが、この世界に来たばかりで携帯食ばかりだった頃を思えば遥かにマシな食事なのでこちらの2人を除く5人は満足そうに食べている。
 こういう食事に慣れていないこちらのカガリやサイは食べるのに苦労していて、硬いパンに閉口していた。

「お前たち、よくこんなの食べれるな?」
「これはスープに浸して柔らかくして食べるんだぞサイ。ちょっと付けるだけじゃ駄目だ」

 トールに言われてサイはパンをスープに漬け込み、少しふやけてくるのを待って口に入れる。大分柔らかくなったパンは沢山のスープを吸って口の中で広がり、かなり美味しく食べることが出来た。
 サイが黙々と食べだしたのを見てこちらのカガリも真似をはじめ、黙々と食べだした。よほどお腹がすいていたのだろう。その食べっぷりにアスランは呆れた顔をして箱から追加のパンを出してやり2人に手渡してやる。それを見てイングリッドが余り備蓄を減らすのはと苦言をするが、アスランはまあ良いじゃないかと返していた。
 なお仲間のカガリは未だに復活しておらず、食事のパンを食べる気にもならずスープだけを口に運んでいる状態だった。乗り物酔いは彼女が一番酷かったらしい。



 食事を終えたあと女性4人は車の中で寝袋で休むことになり、男3人は外で木の下に張ったシートの下で夜露をしのぎながら休むことにした。流石にシャワーなどは無いので濡らした布で体を拭き清める。この問題もあって男どもは車から追い出されたのだ。
 女性だけになった車の後部では床にフレイとイングリッドが寝て、シートの上には左右に分かれて2人のカガリが横になっている。イングリッドの側にこちらのカガリを寝かせたのはもし彼女が寝込みを襲おうとしてもイングリッドなら問題なく制圧できるからだ。
 寝袋に入って横になっていると、イングリッドの向こうからこちらのカガリが声をかけてきた。

「フレイ、後で話してくれるって約束だったろ」
「……明日も早いし、もう寝ない?」
「私は大丈夫だ。お前はどんな……いや、お前やそっちの私はどんな道を歩んできたんだ?」
「私も聞きたいです、その辺りの話は伺ったことが無いですし」

 こちらのカガリの質問にイングリッドまで食い付いてきて、フレイはチラリと背後のカガリを見るが、彼女はこちらに背を向けて反応していない。もう寝ているのだろうか。仕方なくフレイは少しだけ目を閉じて過去を思い出す。

「そうね、私とカガリの出会いからで良いかしら。後あまり細かくは話さないわよ、長くなるし」
「それで構わない」

 こちらのカガリがそう言うので、仕方なくフレイは昔話を始めた。

「私とカガリが初めて会ったのは北アフリカの砂漠よ」
「そこは同じなんだな」
「ふうん、出会いは一緒なんだ。それで砂漠でザフトと戦った後、ヨーロッパに行ってユーラシア軍の反抗作戦に参加したわね。私はここでパイロットとして初陣を経験したわ」
「何、お前がパイロットだと?」
「ええ、量産型のデュエルがアークエンジェルに配備されて、トールと交代で使ってたわ」
「……まあいい、それで?」

 フレイがパイロットというのに相当な引っ掛かりを感じているようだが、カガリは続きを促した。

「それで、黒海近くからインドのマドラスを目指して南下をする事になって、道中で何度も死にそうな目にあったわ。アスランと出会ったのもこの頃だったわね」
「アスランと出会った?」
「ええ、私がスカイグラスパーで偵察に出てた時にアスランに撃墜されてね。そこで洞窟の中で一晩明かしたの。今思うとあれが私がコーディネイターを受け入れられるようになった切っ掛けだったかなあ」
「…………」

 思い出し笑いをするフレイにカガリは複雑そうな顔をしていたが、何も言わなかった。

「それで色々あってキラにも皆にも謝って、この頃からカガリと一緒になったのかな。それでマドラスに到着してちょっと揉め事もあったけど、ここでパーティーに参加させられてカガリがオーブのお姫様だって知ったわね」
「パーティーねえ」
「そういえばアズラエルさんとの出会いもここだったわね。最初は印象最悪だったけど」
「ア、 アズラエルって……」
「父さんと出会ったのもここだったわ。あそこでは友達も出来たし、本当に色々あったなあ」

 懐かしそうな顔をするフレイ。カガリはと言えばアズラエルと出会ったとか言われてかなり混乱している。

「それでマドラスからオーブに行ったんだけど、そこで私撃墜されちゃって負傷して、オーブで除隊することになったの」
「じゃあオーブの病院に?」
「ええ。でもそこでキラが戦死したって聞かされて、随分落ち込んで、何かやってないとおかしくなりそうでカガリの誘いに乗ってオーブ軍に入って教官やテストパイロットをやってたわ。ここからカガリとオーブ軍の私の関係が始まったのね」
「お前がパイロットねえ」
「フレイさんは凄く優秀なパイロットですよ。ナチュラルとしては最高レベルと言っていいです」

 疑わし気なカガリにイングリッドがフレイの実力を保証するが、それでもカガリは受け入れられないようだ。

「後は、オーブ防衛戦でカガリの指揮でザフトと戦って負けたり、地球連合に加わったオーブ自由軍の反抗に呼応してレジスタンスの一員として戦ったり、またアークエンジェルに戻ってプラント侵攻作戦に加わったりしたわね。カガリは奪還したオーブ本土の立て直しをしてて、ある程度筋道を立ててからユウナさんと一緒にオーブ軍を率いて最終決戦に間に合わせてきたわね」
 「……え、ユウナと?」
「あ、こっちじゃ反逆者扱いだったっけ。わたしたちの世界だとミナ様やホムラ様と一緒にカガリを支えてるオーブの最重要人物なんだけど」
「ミナが私に手を貸してるのか?」
「ええ、外務卿として頑張ってるってるけど。前に話した時もカガリを担ぐのは楽しいって言ってたし」
「あいつがお前と話すのか?」
「まあ最初会った時は怖かったけど、話してみると気さくな人よ」

 こっちの世界では違うんだろうかとフレイが思っていると、こっちのカガリは頭を抱えて唸りだしてしまった。余程受け入れられない話なのだろうか。

「とまあ、私とカガリの話はこんな感じね。親友というか戦友というか、そんな感じ」
「……まあ、なんとなく分かったよ。そうか、そっちじゃ私はアスランと会わずにフレイに会ったんだな」
「私だけじゃないわ。ユウナさんもミナ様もキースさんもいた。アズラエルさんやヘンリーさん、イタラお爺ちゃんも、いろんな人がカガリと出会って手を差し伸べてくれたのよ」
「正直、想像が出来ないな。こっちじゃオーブを攻めたのはアズラエルが率いた地球連合軍だった。それがそっちじゃザフトが攻めてきて、私が地球連合軍に参加してオーブを奪還したってのか」
「まあそうね」
「私はオーブから脱出後はラクスに手を貸してアークエンジェルと一緒に戦ったんだ。さっきの話じゃラクスが出てこなかったが、そっちじゃ何してたんだ?」
「ラクスは……確かメンデルコロニーに拠点を築いて大部隊を集めてたけどザフトに攻められて敗北して、アズラエルさんに連れられて私の家に来たかな」
「私たちとは手を組まなかったのか?」
「誘われたらしいけどカガリが怒って決裂したらしいわ。キラもアスランも誘われたけど自分の戦う理由があるって言って断ったって言ってたかな」
「……なんて言うか、本当にどこまでも違う歴史を辿った世界なんだな」

 まさかラクスが敗北してフレイの所に逃げ込んで、自分がアズラエルと組んで地球連合の一員としてプラントに侵攻してるとは。しかもユウナやミナが側近に居るとか、状況が想像できない。
 だがそうなると、向こうの世界ではプラントを完全に殲滅して地球連合の勝利で終わったのか。それともジェネシスを撃たれて地球も壊滅したのか。その辺りはどうなったのかを尋ねたが、問われたフレイはきょとんとした顔をしていた。

「え、プラントは健在よ。地球も無事で、ジェネシスは本来の目的の惑星間航行用の一次加速用レーザー発振器に使われてるけど」
「なんでだよ。こっちじゃ私やラクスが必死に介入してどうにか最終戦争を止めたんだぞ」
「う~ん、私たちの世界だと、プラント侵攻前にはもう地球連合とプラント講和派の間で話が付いてて、プラント講和派がクルーゼさんに捕まってたパトリック・ザラを救出して、それで地球連合も戦いを止めて終戦って流れだったわね。まあ最後にクルーゼさんの大規模な悪あがきがあったけど」
「ラクスは関わってなかったのか?」
「プラント講和派に合流してパトリック・ザラ救出に手を貸してたわね」
「そのくらいなのか」

 向こうの世界ではラクスが大きく関わっていないのに戦争が無事に終わっている。そのことがカガリには信じられなかったが、それを言うなら最初から全てがおかしい。そもそも自分とフレイが親友というのが理解できないし、先ほどの話だとパトリックもアズラエルも生きてて自分たちに協力していたように思える。何がどうなっているのだか。

「なあフレイ、お前の世界では……」
「そのくらいにしておけよ」

 なおも質問を重ねようとするこちらのカガリをフレイの背後からの声が遮った。驚いてフレイが背後を振り返ると、こちらの背を向けたままカガリがこちらのカガリに苦言をぶつけている。

「私たちの世界の事を聞いてどうするつもりだ。こっちの世界とはもう色々と違い過ぎてる、何の参考にもならないぞ」
「……それでも、気になるんだ。お前たちの世界は戦後はどうなってる?」
「ゆっくりと落ち着きを取り戻して、復興も進んでるよ。お前もそれがそんなに不思議なのか?」

 イングリッドもこの世界と私たちの世界は余りにも違い過ぎると言っていた。だが何がその差を生んだのかは分からない。戦争で完全に白黒付いてプラントは地球連合にまた噛みつけるような力は無いし、地球連合加盟国の間でも特に大きな対立要因は無い。問題が無いわけではないが、概ね上手く回っているとカガリは考えていた。
 こちらの世界では2度目の大戦が起きて大量破壊兵器の応酬が始まり、世界中に甚大な被害をもたらした果てに終戦し、その後も世界中で戦乱が起きてファウンデーション王国をめぐる戦争も始まったという。この悲惨さを思えば同情しないではないが、それはこちらの世界の人間が考える問題だ。自分たちには関係が無い。
 自分の背負う責任は自分の世界のオーブだけでも重すぎる、他所の世界の事など構ってやるような義理は無かった。

「世界の運命なんて、1人が頑張ったってどうにかできるもんじゃない。みんなで変えていくしかないんだよ」
「お前は、何かしたんじゃないのかよ?」
「私はオーブを立て直そうと頑張っただけさ。それだって私1人でやったわけじゃない、私に付いてきてくれた皆が居て、手助けしてくれた友人が居て、それでやっとって所だよ。世界の平和に貢献したっていうなら、連合国の中で穏健派として振舞ったくらいだ」

 アズラエルやイタラの爺は私をSEEDを持つ者とか、フレイを本物のコーディネイターとか言ってたが、私は自分をそんな変な何かだとは思っていない。数人の英雄が世界の行く末を決めるなんて間違っている、そんな物に頼った世界が上手くまとまる訳が無いのだ。もしそんな物があったとしても、それは世界を救うただのピースの1つに過ぎないはずだ。
 だから私は、世界を救いたいなんて思って戦ったわけじゃないんだ。

「私は、私の友達たちと楽しく過ごせるオーブを作りたくて頑張っただけさ」

 それだけ言って、カガリは口を閉ざしてしまった。それを聞いてこちらのカガリは口を大きく開けたままそれでいいのかと呟き、イングリッドもそこまで私的な理由でと驚いている。そしてフレイはカガリらしいと小さく笑っていた。
 フレイは思う、こんなカガリだったから私は付いていったんだろうと。彼女がもっと大きな目標を持つ人だったら、多分一緒には居なかったと思う。ミリアリアも交えて一緒に騒いで一緒に笑って、同じ目線で一緒に居るような人だったから、私たちは付いていったのだ。
 楽しそうに小声で笑うフレイだったが、こちらのカガリの次の一言に一瞬呼吸が止まるかと思うほど驚いてしまった。

「まあそっちの世界の話は分かった。だがもう一つ、どうしても聞いておきたい事があるんだ」
「なんだよ、いい加減寝かせてくれ」

 本当に迷惑そうな声でカガリが言う。それで最後だぞと無言のうちに語るカガリに、こちらのカガリがとんでもない事を言ってきた。

「そっちだと、私とアスランはどういう関係なんだ?」

 その一言にカガリは思わず半身を起こしてこちらのカガリを見て何を言ってるんだと驚いた顔をし、フレイはむせこんだがすぐに前にイングリッドが言っていたこちらではカガリとアスランが恋仲という話を思い出してニヤリとし、イングリッドはなんだかワクワクした顔をしている。
 こちらのカガリに問われたカガリは、なんでそういう話になるんだと思ってしまった。

「どうって言われても、私とあいつは何の関係も無いぞ。この騒動に巻き込まれるまでは他国の武官ってだけで、後は人の恋路に水を差した凸野郎ってくらいだ」
「なに、恋路? それはどんな奴だ」
「……良いだろ別に。向こうは最後まで私の気持ちに気付いてくれないまま終わったんだよ」
「それで、今は?」
「フリーだよ、そんな相手はいない」

 不本意そうに言うカガリにこちらのカガリはつまらなそうな顔になり、イングリッドも少し残念そうにしている。それを見てフレイは湧き上がってくる悪戯心を押さえられなくなってしまった。そして凄く悪い顔をして揶揄うような声を出す。

「でもカガリ、そういう相手はいないけど気になってる人はいるでしょう?」

 フレイの一言にこちらのカガリとイングリッドが露骨に食い付いてきて、カガリは裏切り者を見る目でフレイを見下ろした。

「お、お前いきなり何を」
「だってえ、それまで髪の手入れも面倒くさがってたのに急に髪伸ばすようになるし、ズボン止めてスカートに変わったし、私に下着選びとか化粧の仕方聞いてきたりするようになったし、随分な変化よねえ、カガリさまぁ?」
「お、お前、何を言って……」
「でも現状完全に片思いなのが問題よね、ユウナさんからは妹としか見られてないし」
 
 フレイに完全に遊ばれているが、カガリはそんな事を気にする余裕も無くしていた。そしてこちらのカガリは信じられないと言う顔をしている。

「ユ、ユウナって、なんであいつと?」
「まあ私たちの世界だとオーブ防衛戦の前からずっと一緒に頑張って来た戦友だし、オーブ奪還後も補佐役としてずっと一緒だったし、今のオーブじゃカガリの世話役としてみんなに頼られてるんだから。ミナ様やホムラ様にも頼りにされてるのよ」

 フレイの言葉にカガリは顔を赤くして枕に顔うずめて悶えて出し、こちらのカガリは信じられんという顔で何度も頭を左右に振り、イングリッドはそこまで立派になったのならカガリさんの気持ちが向くのも分かりますと唸っている。
 カガリをからかって満足したフレイはさあこれで終わりにしようとしたが、黙ってやられているカガリでは無かった。枕から顔を起こすと、反撃を開始する。

「お前こそ、姿消したキラを待ち続けて3年目の激重女だろうに」
「カ、カガリ!?」
「なに、そっちだとキラとフレイがそういう仲なのか。こっちじゃキラとラクスなんだぞ!?」

 また吃驚してこちらのカガリが声を上げ、イングリッドが楽しそうにしている。左右からカガリに言われてフレイは顔を赤くして小さくなってしまった。

「べ、別に良いじゃない。20まで待つって約束したし」
「いい訳ないだろ。それにお前、結局あれからも一度も好きって言われてないんだろ」
「そ、それは……でも考えてみたら私ももう一度告白はしてなかったし」
「いや、そういうのはもう良いから。それに拘ってるのお前だけで周りはもう恋人同士としか見てなかったからな。お前キラがオーブでお前に向く周囲の視線気にしてたのも気付いてなかっただろ」

 19歳にもなって何でまだそういう処は変わらないんだよと呆れ顔になるカガリ。だがそれを聞いたイングリッドは驚いた声を上げた。

「えっと、その、もしかしてフレイさん、あのカガリさんたちに半年以上待たせてるのかとキラ・ヤマトが怒られてた後もずっとそのままだったんですか?」
「え、なんでそのことを知っているの?」
「す、すいません、以前にフレイさんの夢が無意識に私に流れ込んできたことがあって。それでフレイさんは私と精神同調が出来ると分かったんです」
「ああ、そういえば前にそんな事を言っていた……え、夢を見られたって?」
「その、フレイさんがキラ・ヤマトを騙して戦わせようとしたり、謝って離れたり、MS戦で相打ちに持ち込んで告白したりとか、こう一通りダイジェストみたいな感じで」

 夢の内容を思い出して本当に切ない恋物語ですよねと言われて、フレイは一瞬で顔を真っ赤にしてパタリと横に倒れてしまった。それを見てイングリッドが驚くが、カガリはショートしただけだ放っておけと言った。
 そしてこちらのカガリは倒れてしまったフレイを見て右手で頭を掻き、なんとも困った顔になってしまった。

「こいつ、こんなに可愛い奴だとは思わなかったな。3年も待ってくれてるとか、どっちの世界でもキラは女には恵まれたみたいだな」
「そうだな、フレイが居なけりゃキラは間違いなく壊れてたし」

 キラとフレイと全力でぶつかったあの日の戦いを思い出して、カガリは懐かしそうな顔をする。あれが無ければきっとキラは心を壊したまま戻れなくなっていただろう。





 こうして夜も更けながらコイバナ談議に花を咲かせる女性陣の声を聴きながら、アスランたちは天幕の下でなんて話をしてるんだと反応に困ってしまっていた。

「あいつら、車が防音車だとでも思ってるのか?」
「まあ良いんじゃないか、なんだか楽しそうだし」

 呆れるアスランにトールが気にするなと笑いかけ、サイはキラとフレイがなあと驚いている。
 トールに気にするなと言われたアスランだが、それでも考えてしまった。世界が違えば人間関係も変わるのだろう。だがここまで変わってしまっては、すぐ隣の世界というレベルの変化ではない。多分ここは自分たちの世界とは大分離れている世界なのだ。
 最初はもっと近い世界だと思っていたが、余りにも全てが違い過ぎる。そんな所に自分たちが留まっていてはどんな影響をもたらしてしまうか分からない。フレイは異世界でまで人殺しはしたくないと言っていたが、それは結果的に最善手だったのかもしれない。自分たちがこの世界で殺せば殺すほど、何かがおかしくなっていくのかもしれないのだから。


後書き

ジム改 女たちのコイバナは終わった。
カガリ 異世界でまで恥かかせるなよ!
ジム改 良いではないか、最後の平和なかもしれんのだから。
カガリ え?
ジム改 そろそろマリューと合流する時だもの。
カガリ もしかして、決戦が近い?
ジム改 そりゃまあ、せっかくルドラもあるんだし。
カガリ えっと、どっかリゾートで楽しい一時とかは?
ジム改 海水浴は出来そうだぞ。
カガリ それ船が海中にあるってだけだろ!?
ジム改 でもそろそろ舞台が動く頃合いではある。
カガリ 私たちもようやく本格的に仲間と合流できるしな。
ジム改 これで戦力も不十分だけど揃うし、一戦やるくらいは可能かなあ。
カガリ ルドラがあって、不十分?
ジム改 その辺は近いうちに。ただ現在のカガリたちって、主人公たちを相手に戦うスパロボの敵軍団状態なのよね。
カガリ そう言われると確かに戦力足りないな……
ジム改 一応人材だけは揃ってるけど、それでもこの世界がガチで攻めてきたら潰されるだけだし。
カガリ そもそも主人公が総出てきたらどうにもならんよな。
ジム改 現状だとそうなんだよねえ。



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